台風や大雨のあとに雨漏りが出た方へ。対応している屋根カバー工法と、屋上まわりの改修工事の実例をご紹介します。雨の入口がどこにあるかで、必要な工事は変わります。

台風や、まとまった雨が続いたあとに、雨漏りのご相談が増えます。

天井にシミが出た。壁紙が浮いてきた。押入れの奥が湿っている。慌てて屋根屋さんを呼んだけれど、瓦もズレていないし特に問題ないと言われた。じゃあどこから入っているのか?

雨漏りの厄介なところは、水が入った場所と、室内に症状が出る場所が一致しないことです。屋根の上から入った水が、下地を伝って離れた場所に落ちてくることは珍しくありません。逆に、屋根はまったく無事で、壁や屋上の立ち上がり部分から入っていることもあります。

今回は、雨漏りに対応する工事として実際に行った工事のうち、性格の違う2つの現場をご紹介します。

事例1|スレート屋根を金属屋根でカバーする

工事前・屋根全景

遠目には、まだ十分に使えそうに見えます。

ただ、近づいて見ると全体に色があせて、表面がざらついていました。スレートを守っている塗膜が切れて、屋根材そのものが水を吸うようになっている状態です。

工事前・屋根の寄り

スレートは、この段階から進みが早い材料です。 水を吸うと、乾くときに反ります。冬になれば含んだ水が凍って割れます。割れた隙間から下の防水シートに水が回り、そこも傷んでいく。最終的には野地板という下地の板が腐り、そうなると屋根の上に新しいものを重ねることができなくなります。

つまり、カバー工法が選べるうちに動くかどうかで、費用がまったく変わってきます。 下地まで傷めば、既存の屋根をすべてはがす葺き替えしか選べません。

下地から作り直す

工事は、既存の屋根の上に新しい下地を張るところから始まります。

施工中・野地板の増し張り

カバー工法は「既存の屋根の上に金属屋根をかぶせるだけ」と思われがちですが、実際には下地からきちんと作ります。ここを省くと、上に載せる屋根材を固定する力が足りません。

防水シートを張る

続いて、屋根全面にルーフィングと呼ばれる防水シートを張ります。

防水シートを張る様子

今回使ったのは、通気と透湿、防水の機能が一体になったものです。意外に思われるかもしれませんが、実際に雨を止めているのは屋根材ではなく、この層です。 屋根材は、このシートを紫外線や風雨から守るための、いわば上着のようなものです。

雨漏りの相談で「屋根材が割れていないから大丈夫」と判断されることがありますが、屋根材の下の層の点検が重要です。

金属屋根を葺いて完成

最後に、金属の屋根材を葺いていきます。

金属屋根の葺き作業
施工完了

金属屋根は軽いので、建物にかかる負担が抑えられます。既存の屋根をはがさないぶん工期も短く、廃材が出ないので処分費もかかりません。屋根が二重になることで、断熱や遮音の面でも効果があります。

事例2|屋上まわりから水が入っていたケース

もうひとつは、陸屋根、いわゆる平らな屋上を持つ建物です。

屋上の雨漏りは、床だけの問題ではありません

屋上の雨漏りというと、床に張ってある防水層の劣化を思い浮かべる方が多いと思います。もちろんそれも原因になりますが、実際に多いのは立ち上がりの部分です。

立ち上がりというのは、屋上の床と、まわりを囲む壁が接している部分のこと。屋上に出る階段室や設備室の外壁も含まれます。

施工前・屋上まわりの状態

写真を見ていただくと、囲いの壁が黒く汚れているのが分かると思います。ここは水が集まる場所であり、乾きにくい場所でもあります。床の防水層が無事でも、この立ち上がりに切れ目があれば、そこから水は入ります。

屋上は、水が逃げる場所が限られています。 勾配のある屋根なら、水は自然に下へ流れて落ちていきます。ところが平らな屋上では、排水口に向かってゆるやかに流れるだけ。大雨のときは一時的に水が溜まった状態になり、その水位が立ち上がりを押します。弱い場所があれば、そこから浸みていきます。

下地からやり直す

今回は、屋上に立ち上がっている部分の外壁を張り替えました。

まず既存の仕上げを撤去し、構造用合板で下地を作り直します。

その上に、防風・防水・透湿シートを張ります。屋根のルーフィングと考え方は同じで、ここが実際に水を止める層になります。

仕上げて完成

仕上げには、木目調の金属サイディングを使いました。

見た目もずいぶん変わりましたが、大事なのは表に見えない部分です。 下地とシートをきちんと入れ替えているので、この壁から水が入ることは当面ありません。


雨漏りに関しての必要な工事は点検からでないと難しい

同じ「雨漏り」でも、必要な工事はまったく違います。

勾配のある屋根なら、カバー工法で済むのか、下地まで傷んでいて葺き替えになるのか。屋上なら、床の防水層をやり直すのか、立ち上がりや外壁の側に原因があるのか。

判断を飛ばして工事の話を進める業者には、気をつけてください。 見てもいないのに金額を出してくる、症状を聞いただけで工事内容を決めてくる。そういう場合は、一度立ち止まったほうがいいです。

雨漏りは、水の入口を特定しないと止まりません。実際に上まで上がって確認し、必要であれば散水調査をして、それから工事内容を決めるのが本来の順番です。

雨漏りは、待っていても止まりません

そして時間が経つほど、直すための費用は確実に上がっていきます。屋根なら、カバー工法で済んだはずのものが葺き替えになる。屋上なら、部分的な補修で足りたはずのものが、下地の入れ替えまで必要になる。

天井や壁にシミがある。台風のあとから雨のたびに音がする。屋上の壁ぎわが黒く汚れている。前回の屋根工事から10年以上経っている。

こうしたことがあれば、一度見ておいて損はありません。

現地では実際に上まで上がって確認し、写真をお見せしながらご説明します。いま工事が必要な状態なのか、あと数年待てるのかも率直にお伝えします。「まだ大丈夫です」とお答えすることもあります。気になる事がございましたらお気軽にお問合せください。

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